「クエルボって、テキーラの銘柄でしょ?」——半分正解で、半分違います。
クエルボは銘柄の名前であると同時に、世界最大級のテキーラ企業の名前でもあるんです。正式名称はJosé Cuervo(ホセ・クエルボ)。その実態を知ると、テキーラ業界の構造が見えてきます。
クエルボと1800は同じグループ
日本でよく見るホセ・クエルボと1800 Tequila。Part16でも触れましたが、この2つは同じクエルボグループのブランドです。
しかし、クエルボが関わるテキーラブランドはこの2つだけではありません。実は数十種類規模のブランドを展開・製造しており、自社蒸溜所での生産に加えて、他ブランドの受託製造(OEM)も行っています。日本ではアサヒビールがクエルボの蒸溜所と契約しているため、クエルボが蒸溜するお酒はアサヒが取り扱う形になっています。
つまり、日本でテキーラを飲むと、気づかないうちにクエルボが造ったテキーラを飲んでいる可能性がけっこう高いということです。
テキーラだけじゃない総合酒類企業
クエルボの事業はテキーラだけにとどまりません。
グループの流通部門では、ブッシュミルズ(アイリッシュウイスキー)やグレンロセス(スコッチウイスキー)など、テキーラ以外の世界的な蒸溜酒ブランドも取り扱っています。テキーラメーカーというよりも、グローバルな総合酒類企業というのがクエルボの実態です。
テキーラの街でホテルや鉄道まで運営
さらにユニークなのが、メキシコ・ハリスコ州の「テキーラの街」での事業。クエルボはこの街で自社ホテルや観光鉄道「Jose Cuervo Express」まで運営しています。蒸溜所見学、ホテル宿泊、列車の旅——テキーラの産地を丸ごと体験できるツーリズムを提供しているのです。
ボトルを売るだけでなく、テキーラの世界観そのものを作る会社。それがクエルボの正体です。
なぜクエルボは世界に広まったのか
ここまで巨大になった理由はシンプルです。
早い段階で海外輸出を始めた。1700年代から続く老舗で、いち早くアメリカ市場に目を向けました。アメリカ市場を押さえた。世界最大のテキーラ消費国で流通網を築き、バーやリカーストアの定番に。カクテル文化に入り込んだ。マルガリータの普及とともに「テキーラ=クエルボ」の認知が世界中に広がりました。
クエルボは最初に世界の席を取った会社。そのファーストムーバーの優位性が、今日の圧倒的シェアにつながっています。
まとめ
クエルボは単なるテキーラの銘柄ではなく、数十ブランドを擁する総合酒類企業です。その規模感を知ったうえで、あえてクエルボ以外を選んでみると、テキーラの世界の多様さが見えてきます。
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