日本のバーで「テキーラ」と言えば、出てくるのはほぼホセ・クエルボか1800。
この2つがなぜここまで日本のテキーラ市場を支配しているのか。そもそもクエルボとはどんな会社なのか。知ると、テキーラの見え方がまったく変わります。
クエルボと1800は「兄弟ブランド」
まず知っておくべき事実。ホセ・クエルボと1800は、同じ会社が造っている兄弟ブランドです。
ホセ・クエルボ社(正式にはBecle社)が展開するテキーラブランドのうち、大衆向けラインが「ホセ・クエルボ」、プレミアムラインが「1800」。同じ蒸溜所で造られていますが、ポジショニングが異なります。
日本のバーで「アネホください」と言えば1800が出てきて、「テキーラ」とだけ言えばクエルボが出てくる。実はどちらもクエルボ社の製品です。
なぜ日本ではクエルボと1800が圧倒的なのか
理由は2つ。参入のタイミングと流通の力です。
① 日本市場への早期参入
クエルボは日本にテキーラが本格的に入り始めた初期から市場にいました。テキーラという酒そのものの認知がまだ低い時代に「テキーラ=クエルボ」というイメージを定着させたファーストムーバーアドバンテージがあります。
② アサヒビールの流通網
日本でのクエルボ・1800の販売を担っているのはアサヒビール。全国のスーパー、コンビニ、飲食店に張り巡らされたアサヒの営業力と流通網が、クエルボと1800を日本中のバーカウンターに届けています。
テキーラの品質だけでなく、「どこでも手に入る」という流通の強さがクエルボの日本市場での圧倒的なシェアを支えているのです。
ホセ・クエルボの正体——テキーラだけじゃない総合酒類企業
ホセ・クエルボ社は、実はテキーラだけの会社ではありません。世界有数の総合酒類企業です。
テキーラブランドだけでもクエルボ、1800に加えて数十ブランドを展開。さらに驚くのは、テキーラ以外の酒類も傘下に持っていること。アイリッシュウイスキーのブッシュミルズ、スコッチウイスキーのグレンロセスなど、テキーラとは無関係のブランドもクエルボ社の傘下です。
200年以上の歴史を持つ老舗でありながら、グローバルな酒類コングロマリットとしての顔も持つ。それがホセ・クエルボの正体です。

OEM製造——他社ブランドのテキーラも造っている
クエルボ社のもうひとつの顔がOEM(委託製造)。自社ブランドだけでなく、他社ブランドのテキーラも受託生産しています。
テキーラ業界では、ひとつの蒸溜所が何十ものブランドを製造するのは珍しくありません。ラベルやブランド名が違っても、中身は同じ蒸溜所で造られている——ということは日常的にあります。Part56で紹介したNOM番号を調べると、どのブランドがどの蒸溜所で造られているかがわかります。
テキーラツーリズムの先駆者
クエルボ社はテキーラの製造だけでなく、テキーラ村の観光事業にも力を入れています。
グアダラハラからテキーラ村を結ぶ観光列車「ホセ・クエルボ・エクスプレス」は、車内でテキーラのテイスティングやメキシコの伝統音楽を楽しめる人気ツアー。テキーラ村の蒸溜所「ラ・ロヘーニャ」はラテンアメリカ最古の蒸溜所として観光地にもなっています。
テキーラを「飲むもの」から「体験するもの」に広げたのも、クエルボの功績のひとつです。
クエルボがテキーラの世界を広げた——でも、それだけじゃない
ホセ・クエルボが世界のテキーラ市場を牽引してきたことは間違いありません。日本でテキーラが飲めるのも、クエルボの参入とアサヒの流通があったからこそ。
ただし、クエルボと1800だけがテキーラではないのも事実です。
世界には200以上の蒸溜所があり、約2,000のブランドが存在します。大手の流通力では届かない場所で、家族経営の小さな蒸溜所が手間をかけて造るテキーラにも、クエルボにはない個性と魅力があります。
クエルボでテキーラの入口に立った方は、ぜひその先の世界にも足を踏み入れてみてください。
テキーラで一体感を生み出そう。一体感テキーラ。
DOS LOCOS|大手にはない、家族経営蒸溜所のプレミアムテキーラ
DOS LOCOSは、ハリスコ州アマティタンの家族経営蒸溜所「Tequila Selecto de Amatitán(NOM 1459)」で造られる100%ブルーアガベ・無添加のテキーラ。大手の大量生産とは対極にある、伝統技法「カノア・イ・マソ」で仕上げる一本です。
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