ビールやワインは発酵だけで作られますが、テキーラやウイスキーはさらに「蒸留」という工程を経て生まれます。
テキーラの蒸留にはどんな特徴があるのか。なぜ2回なのか。この記事では、蒸留の基本からテキーラならではの仕組みまで解説します。
そもそも蒸留とは
蒸留とは、液体を加熱して蒸発させ、その蒸気を冷やして再び液体に戻す技術です。
アルコールの沸点は約78℃、水は100℃。この差を利用して、加熱するとアルコールが先に蒸発するため、蒸気を集めて冷やせばアルコール濃度の高い液体が取り出せます。
発酵だけではアルコール度数は15%前後が限界(酵母がアルコールに耐えられなくなる)。蒸留によってこの限界を超え、40%以上の度数を実現するのが蒸留酒(スピリッツ)です。
テキーラの蒸留は「2回」が基本
テキーラは法律で最低2回の蒸留が義務づけられています。
1回目の蒸留で生まれるのは「オルディナリオ」と呼ばれる粗いアルコール。度数は約20%前後で、まだ雑味も多い状態です。
2回目の蒸留でさらに精製し、度数は50〜60%まで上昇。ここで蒸留師が「ヘッド(最初の部分)」と「テイル(最後の部分)」を切り落とし、中央の「ハート」だけを取り出します。このカットの判断が、テキーラの味を決める最も重要な技術のひとつです。
なぜ2回なのか——アガベの個性を残すバランス
蒸留回数を増やすほどアルコールはクリアになりますが、同時に原料の風味も薄れていきます。ウォッカは3〜4回蒸留してニュートラルな味に仕上げますが、テキーラはアガベの甘みや香りを残すことが重要。
2回という回数は、雑味を除去しながらアガベの個性を最大限に残すバランスポイント。テキーラの蒸留は「きれいにする」だけでなく「アガベの風味を凝縮する」工程でもあるのです。
蒸留器の種類でも味が変わる
テキーラの蒸留には主に2種類の蒸留器が使われます。
銅製の単式蒸留器(ポットスチル):伝統的な方法で、アガベの風味が豊かに残る。少量生産のクラフトテキーラに多い。
ステンレスのカラム蒸留器:効率が良く大量生産向き。よりクリーンな味わいになる傾向。
蒸留器の素材や形状によっても味が変わるため、蒸留所ごとの個性が出るポイントでもあります。
DOS LOCOS|2回の蒸留+3度目の蒸留
DOS LOCOSのブランコは銅製の単式蒸留器で2回蒸留し、アガベの旨みを凝縮。さらにクリスタリーノでは、樽熟成後に3度目の蒸留を行うことで色だけを取り除き、透明に仕上げています。フィルターではなく蒸留で色を抜くのは、クリスタリーノとしても珍しい製法です。
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