意外と知らないテキーラの秘密 Part23|アサヒへのサイバー攻撃がテキーラにも影響を与えていた

テキーラ アサヒ サイバー攻撃 システムダウン

2025年秋、日本の大手飲料メーカー・アサヒグループがサイバー攻撃を受け、受注や出荷システムが約半年にわたってストップしたのを覚えていますか?

「ビールが品薄になった」というニュースは大きく報道されましたが、実は影響が出ていたのはビールだけではありません。テキーラにも波及していたんです。


何が起きたのか

2025年9月29日、アサヒグループホールディングスの国内基幹システムがランサムウェアによるサイバー攻撃を受け、受注・出荷システムが全面停止しました。

スーパードライをはじめとするビール製品の出荷が制限され、全国の小売店や飲食店で品薄が発生。出荷の完全正常化は2026年4月7日までかかり、約半年間にわたって影響が続くという前代未聞の事態となりました。


テキーラへの影響

アサヒはビールだけでなく、海外洋酒の日本国内での流通も担当しています。その中に含まれていたのが、テキーラブランドの「1800 Tequila」です。

アサヒの物流網が止まれば、当然1800の納品にも影響が出ます。実際にこの期間、一体感テキーラの代表も取引先から「いつものテキーラ(1800)が入ってこない」という声を聞いていました。

つまりこのサイバー攻撃は「ビール業界のトラブル」ではなく、日本の酒類流通全体に波及した出来事だったのです。


1800のポジションへの影響

Part16で紹介したとおり、1800が日本のテキーラ市場で圧倒的な存在感を持っていた理由のひとつは「いつでも安定して入荷できること」でした。

ところが、約半年にわたる出荷制限により、飲食店やバーは1800の代わりとなるテキーラを探す必要に迫られました。一度別のブランドに切り替えた店舗が、出荷再開後にすべて1800に戻るとは限りません。

「安定供給」という1800の最大の武器が、サイバー攻撃によって一時的に失われたことで、これまで築いてきた定番ポジションが揺らぐ可能性が生まれました。実際にこの期間をきっかけに、プレミアムテキーラの多様な選択肢に目を向けた飲食店も少なくなかったと言われています。


流通リスクと「選ばれるテキーラ」の変化

今回の件は、特定の流通網に依存するリスクを浮き彫りにしました。

どれだけ優れたブランドでも、届かなければ飲めない。1社の物流に頼る構造は、こうした不測の事態に対して脆いということが証明されたのです。

一方で、この出来事は日本のテキーラ市場にとってひとつの転機にもなりました。「いつもの定番」が手に入らない期間に、新しいブランドやプレミアムテキーラと出会った人が増えたこと。それは、テキーラの選び方が「流通量」から「味」へとシフトする一歩だったのかもしれません。

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