お酒って、どうやってアルコール度数を高めているか知っていますか?
ビールやワインは原料を発酵させるだけで作られますが、この方法だとアルコール度数はせいぜい15%前後が限界。酵母がアルコールに耐えられなくなって、発酵が止まってしまうからです。
ではウイスキーやテキーラはなぜ40%もあるのか。ここで登場するのが「蒸留」という工程です。
蒸留の仕組み——アルコールだけを取り出す
蒸留とは、液体を加熱して蒸発させ、その蒸気を冷やして再び液体に戻す技術です。
ポイントは、アルコールと水の沸点の違い。水の沸点は100℃ですが、アルコール(エタノール)の沸点は約78℃。加熱すると水より先にアルコールが蒸発するため、この蒸気を集めて冷やせば、アルコール濃度の高い液体を取り出すことができます。
つまり蒸留とは、発酵で生まれたアルコールをギュッと濃縮する工程。この技術によって生まれるのが蒸留酒であり、英語では「スピリッツ(Spirits)」と呼ばれます。
発酵だけだと15%、蒸留すると40%以上に
醸造酒と蒸留酒の度数の差を具体的に見てみましょう。
醸造酒の代表であるビールは約5%、ワインは約12〜15%、日本酒は約15〜17%。いずれも酵母による発酵の限界値付近です。
一方、蒸留酒のウイスキーは約40%、ジンやウォッカは約40〜50%、テキーラも38〜55%。発酵だけでは到達できない度数を、蒸留という技術で実現しています。
ちなみにPart20で紹介したとおり、テキーラの度数は法律で35〜55度と定められており、蒸留後に加水して度数を調整するのが一般的です。
テキーラの蒸留——2回でアガベの風味を凝縮
テキーラの場合、ブルーアガベを発酵させた液体を最低2回蒸留することが法律で義務づけられています。
1回目の蒸留で生まれるのは「オルディナリオ」と呼ばれる粗いアルコール。度数は約20%前後で、まだテキーラとは呼べません。2回目の蒸留でさらに精製され、度数は50〜60%まで上がります。
この2回の蒸留で、不要な雑味を取り除きながらアガベ本来の風味を凝縮させるのがテキーラの造り方。蒸留回数を増やすほどクリアになりますが、アガベの個性も薄れるため、2回という回数は味と純度のバランスを取った結果でもあります。
発酵+蒸留の2段階でテキーラは生まれる
整理すると、テキーラが生まれるまでの流れはこうです。
まずアガベの糖分を酵母で発酵させ、アルコールを生み出す。次にその液体を蒸留して、アルコールを濃縮しながらアガベの風味を凝縮する。
この発酵と蒸留の2段階があって初めて、テキーラというお酒が完成します。造り方の仕組みを知ると、ショットで一気に流し込むのがいかにもったいないかがわかるはずです。
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