酒って、造った後すぐに出荷されると思っていませんか?
実は多くのお酒は、造ってから一定期間の「熟成」という工程を経て、味わいが整えられています。そしてこの熟成には、大きく分けて2つの種類があるんです。
樽熟成——時間と木材が味を変える
ひとつ目は樽熟成。木製の樽にお酒を入れて寝かせる方法です。ウイスキー、ワイン、そしてテキーラのレポサドやアネホがこれにあたります。
樽の中では、主に3つのことが起きています。
① 木材からの成分抽出
バニラ、カラメル、トースト、スパイスのような香り。これらはお酒自体が生み出すものではなく、オーク樽から溶け出した成分です。樽の内側は焼き付け(チャー)処理されていることが多く、この焦がし具合によっても抽出される成分が変わります。
テキーラのアネホにバニラやキャラメルの香りがあるのは、まさにこの樽からの抽出によるもの。Part3で紹介した熟成カテゴリの味の違いは、樽の中でのこの化学反応が生み出しています。
② 酸化
樽は完全密封ではなく、木材の微細な隙間を通じてわずかに空気が出入りしています。この緩やかな酸化によって、アルコールの角が取れてまろやかな口当たりに変化します。
③ 蒸発——天使の分け前
樽の中のお酒は、毎年少しずつ蒸発していきます。この蒸発で減った分を「天使の分け前(エンジェルシェア)」と呼びます。
蒸発するとお酒の総量は減りますが、残った液体は濃縮されて味わいが深くなる。Part25で紹介したとおり、メキシコの温暖な気候ではこの蒸発も速く、長期熟成のテキーラが高くなる理由のひとつです。
タンク熟成——素材の味をそのまま守る
もうひとつはタンク熟成。ステンレス製の容器で寝かせる方法です。
ステンレスは外部の影響をほとんど受けないため、原料本来の風味をそのまま保ちたいときに使われます。木材からの成分抽出も酸化も起きないので、お酒の味がほぼ変わりません。厳密には「熟成」というより「寝かせる・休ませる」が近く、白ワインや日本酒の一部、テキーラのブランコがこれにあたります。
ブランコがアガベのフレッシュな香りをダイレクトに感じられるのは、ステンレスタンクで素材の味を守っているからです。
まとめ:樽は「加える」、タンクは「守る」
樽熟成は「時間と木材が新しい味わいを加える」工程。タンク熟成は「素材そのものの味わいを守る」工程。
どちらが優れているということではなく、目指す味わいによって使い分けられているのがお酒の世界です。テキーラでいえば、ブランコはタンクで素材感を活かし、レポサドやアネホは樽で深みを加える。同じ原料から、熟成方法の違いでまったく異なるお酒が生まれるのがテキーラの面白さです。
テキーラで一体感を生み出そう。一体感テキーラ。
👉 タンク熟成のブランコと樽熟成のクリスタリーノ、飲み比べてみませんか? DOS LOCOS ブランコ&クリスタリーノ 2本セットはこちら