メキシコといえばテキーラ。これは間違いありません。
では、メキシコで一番飲まれているお酒は何でしょうか?テキーラだと思った方、実は違うんです。
答えは「ビール」
コロナ、モデロ、テカテ、パシフィコ——これらのメキシコ産ビールブランド、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
メキシコは世界のビール生産・消費量ともにトップクラスの国です。現地では缶ビール6本パックが約250円程度で手に入り、「メキシコ人にとってビールは水と同じ」と言われるほど日常的に飲まれています。
Part37でも触れましたが、日本の「とりあえずビール」と同じ感覚が、メキシコにもあるんです。仕事終わりに一本、食事と一緒に一本、暑い日にゴクゴクと。メキシコ人の日常に最も近いお酒はテキーラではなくビールです。
テキーラが一番消費されているのはアメリカ
では、テキーラはどこで一番飲まれているのか。
答えはアメリカです。Part39で紹介したとおり、メキシコからのテキーラ輸出量の実に80%近くがアメリカ向け。テキーラはアメリカ人が最も愛するスピリッツカテゴリーのひとつになっています。
意外に思うかもしれませんが、テキーラの最大消費国は生まれ故郷のメキシコではなく、お隣のアメリカ。マルガリータやパローマといったカクテル文化、セレブによるブランド展開、プレミアムスピリッツとしての認知——アメリカ市場がテキーラの成長を牽引してきたのです。
メキシコにとってテキーラは「誇りの酒」
ではメキシコ人はテキーラを飲まないのかというと、もちろんそんなことはありません。ただ、テキーラの位置づけが日常酒ではないということです。
メキシコにおけるテキーラは、「日常のお酒」ではなく「誇りのお酒」。
祝いの席、特別な日、大切な人と過ごす時間。そういう場面に登場するのがテキーラです。メキシコの文化・歴史・アイデンティティそのものとして大切にされており、日本人にとっての日本酒に近い存在と言えます。
毎日飲むのはビール。でも特別な瞬間に選ばれるのはテキーラ。この関係性が、メキシコにおけるテキーラの本当のポジションです。
「毎日飲む酒」と「特別な瞬間に選ばれる酒」
この構造を知ると、テキーラに対する見方が変わります。
テキーラは大量消費のための酒ではなく、一杯を大切に味わうための酒。アガベの6〜8年の歳月、厳格な産地と製法、メキシコのアイデンティティそのもの——すべてが「特別」だからこそ、特別な瞬間に選ばれる。
メキシコ人のテキーラとの向き合い方を知ると、次の一杯がもっと特別なものになるはずです。
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